荷役が早く終わり夕方停泊出来たりすると各自部屋からお酒を持ち寄り飲み会が始まる。
内航船員の停泊時間の楽しみは大体、食堂での飲み会。。。
毎回同じメンバーでの飲み会なんで、話は毎回同じ。。。
でも、たまに内航船員に転職してきた元漁師の小話?九死に一生な話が聞けるときがある。
この元マグロ船漁師たちの話が、普通に働いている陸上職のサラリーマンや内航船でしか働いたことない船員たちからすると驚愕することがいっぱいで、もう笑うしかない話なのだ。。。
ホントは笑ってはいけないんだろうが、その元漁師ももう過去の出来事みたいで面白おかしく話してくるので、聞いてるこっちは笑い話として聞いている。
ずっと漁師をしてた人たちが、内航船に転職してくる人がかなり多い。
多分、半分以上は元漁師ではないだろうか?
なので、海外に漁に出ていた元漁師がいるとみんな1つ2つは九死に一生ネタを持っていたりする。
今回は、僕が船内で聞いた内航船員に転職してきた元漁師の話をまとめてみようと思う。
1 外地での仮バース
海外で漁をする船は、燃料の補給のためや捕った魚の積み上げ(荷役)などで各国の港に船を着けたりするのだが、内航船と同じく休みの日もあるらしく昼から身なりを整えて街に繰り出したりする。
その日は南アフリカで仮バースがあり船員はみんなで、食事をしに街まで行ってたとき一人船で留守番をしていたときの話である。
外地の港に仮バースすると一人で観光と行くなよ!!といわれるらしい。
南アフリカなんかは特に治安が悪く、すぐお金をとられたり誘拐されたりと危険が多い。
特にその頃の日本人はお金も持っていたりしたので尚更狙われていたんだろう!?
いつもはみんなで行動していたらしいのだが、今日は船に一人で残ることにしたと、
船は港に係留していて周りをフェンスで囲まれているためフェンスの外にでないと危険は無い。
一人で自室で飲んでいたら、フェンスの外からなにやらライトが点滅していたので「なんか、売りに来た」とおもったらしい。
どうやら、漁船がいく外地の港では色んな物を売りに来るというのだ。
以前も、ペンギンや猿などの動物や現地のエロ本など様々なものをもってくる業者がいる。
まあ、闇取引なんだろうけど。。。
そんなこんなで、またそういった類いの人と思いフェンスまで行くとどうやら「一発やらないか?」という誘いであった。
酒も飲んで少し気分が高揚していたのもあってか金額を払いフェンスをあけると、いきなり後ろから口と目鼻を押さえられ男が身につけている物全て取っていったという。
身につけていた時計や洋服ネックレスまで全部取られた。
でも、ここで抵抗すると「奴らは、すぐ銃を取り出す」からされるがママが鉄則らしい。
下手すると命を落としかねない。。。
2 操業中に波にさらわれる
漁師が漁をするときは大体シケである。
しかも、赤道近くやベーリング海などテレビでも時々紹介される過酷な環境で仕事をしている。
なので、
周りは海しかなく島影すら見えない。ということはシケの時に船から落ちると人間なんてスグ死ぬのである。
シケの海で漁をしていたときいきなり波に誘われてしまい運良く助かったといっていた。
僕は漁船にのった経験はないのだが現職が一応船乗りなので、陸上で働いている人たちから見たら少しは想像がリアルかもしれない。
タンカー船でも、大シケの時に船外にでてもし海に落ちてしまうときっと助からないと思う。
ましては、漁船で遙か彼方の沖で操業している時のシケなんて一体波の高さ何メーターなんだろうか?
その人はその時まだ、漁師見習いをしていたがみんなの手伝いをしていたとき揺れる船のデッキで仕事をしていた。
そしたら急に大きな波がデッキを飲み込み自分も波にさらわれたのだ。
あっという間に、海に落ちてしまい他の船員に助けを呼んだが聞こえていない。。。
長靴を履いていたため、体が沈んでいく。。。急いで長靴を脱いで海面に浮くようにして気づいてくれるのを待っていた。
すると、スグに先輩船員が気づいてくれて救出された。
シケの海なんかはスグに流されるので海に落ちてしまうと高確率で助からないらしいがその人は運良く助かったらしいが、海に落ちた瞬間「あっ、死んだな」と悟っていたらしい。。。
3 船内で事故
陸上で、ケガするとスグに病院にいって治療が受けられる。
船ではケガするとスグには行けない場合もあり、ケガや事故を起こさないように十分注意しながら仕事をしているのだが、いくら注意していても起こってしまうこともある。
内航船では日本国内だけを航海し荷役をし陸地からそう離れてないので比較的スグに病院にいって治療をうけられるが、外国航路のタンカー船や遠洋漁業の漁船なんかは陸地も見えない沖を航海することもあるので、スグに病院に駆け込むことができない。。。
元遠洋マグロ船で働いていた人は、シケの時にデッキで波にながされ腰を強打して骨折していた。
ケガしたのは操業中でまだ冷凍庫がいっぱいになる前なので陸には引き返せない。
冷凍庫がいっぱいになると取った魚を降ろすため港にいくのだが、まだ行けないのでとりあえず応急処置でつなぎ止める。
だが、日に日に腰の具合が悪くなり立ち上がることさえ出来ない。
ご飯を食べるのも無理になりコック長が食べさせてくれる。
ご飯は人の手をかりてなんとか食べることも出来たが、一番困ったのはトイレだったという
小の時はまだいいのだが大を催したときには申し訳ない気持ちでいっぱいな気持ちと恥ずかしさが募り、毎回トイレに連れて行ってもらうのも悪いと思って自力で行っていたらしい。
が、やはり漁船はゆれるのでかえって迷惑をかけてしまったらしい。
そんなこんなで痛みに耐えいざ病院にいくと腰骨が歪んだ状態でくっついているため再度手術することになった。
でも、幸い後遺症もなく元通りの生活が出来ている。運が良かったんだろう。
まとめ
いかがだっただろうか、
今回は僕が乗船してきたタンカー船に転職してきた元漁師の話を記事にしてみた。
この話に書いた三人は運良く助かったり無事に帰ってきた人たちなのだが、中には海難事故で命を落としてしまった人も結構いる。
船乗りは、タンカー船漁船に限らず選択を間違うと即、死に繋がったり取り返しのつかない事態に陥ることもある。
だから、
船員たちは、日頃の危険予測やシミュレーションはかかさない。
待っている家族がいるのだから。
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